SaaS

 ASPとSaaSの違い
結論からいえば日本ではASPとSaaSは全く同じ意味で使われています。本来はASPはネットワークを通じてソフトウェアをユーザーに利用させる事業者や商売のことで、SaaSはそのソフトウェアそのもののことです。
ところが日本のIT業界の特徴でASPのビジネスを展開するときに、あたかも新しいソフトウェアであるように売り込むため、ASP=ソフトウェアのような説明の仕方をしました。これはSCMやCRMの時と同じです。
アメリカでSaaSについての定義が提唱された後、日本では商売としてうまくいっていなかったASPを言い換える言葉として利用されました。ようするにSaaSは全く新しい物でASPとは別であると言いたかったのかもしれません。とはいってもSaaSも業界の予想ほどの商売とならなかったため、最近ではSaaSやASPを包含・総称する意味を持つ「クラウドコンピューティング」を全く新しいシステムとして説明したり売り込むケースも増えています。
このため「ASPとSaaSの違い」という説明では多くの間違えが見つかります。
例えば

1.SaaSは「シングルインスタンス・マルチテナント」
SaaSの運用形態には「マルチ・インスタンス」「マルチ・テナント」と「シングルインスタンス・マルチテナント」の3種類があるというのが正解です。マルチ・インスタンスとマルチ・テナントはASPと呼ばれていた時代から行われていた形態でSaaSと呼ばれるようになった現在でも広く使われています。

2.ユーザ側でのカスタマイズが可能
日本でいうASPがスタートした時にはSAPや会計ソフト、グループウェアなど高価なソフトを資金力のない中小企業にも安価に提供できるというもくろみがありました。(当時はネットワークのインフラの問題などでユーザー数の多い大企業へのASPは難しいかった面もあります)
SAPやグループウェアはもともと当時としては強力なカスタマイズ機能持っていましたが、低コストで導入させることやネットワークスピードの問題で、ASPでは当初から機能を制限したり、カスタマイズさせないというのをあえて前提としていたところもあります。

3.既存アプリケーションとの連携が容易
以前のASPのソフトウェアでも、当時としては高い連携を持っていました。これはSaaSだからというより、OSのプラットフォームやプログラムレベルで多くの連携が可能になっただけで、社内のサーバーで使用されているCRMやSFAなどのシステムでも同じことです。