システム投資

 システムの投資対効果の問題
システムの投資には多額の費用がかかる場合があります。数年前のITバブルの頃、Eコマース(インターネットショップ)システムの構築には多額の費用がかかりました。その時、多くの企業ではEコマースの実施により大きな売上が得ることができ、費用対効果が高いと判断しました。結果はひどいもので、多くの企業がこの分野から撤退したり、資金力のないベンチャー企業は倒産し、ITバブル崩壊の原因ともなりました。
企業競争が激しい現在ではシステム投資にも素早い経営判断が求められます。ところが、システム投資の判断が難しいのには2つの大きな問題があるといわれています。

1. システム部門が費用対効果をうまく説明できない
システム開発の稟議を行うのはシステム部門ですが、システムを利用するユーザー部門ではありません。このため、システム稼働によって営業的寄与がどのくらいあるのか、人員の削減などコストがどのくらい下がるのか判断できません。したがってプレゼン資料も投資対効果の部分にはあまり触れずにシステムの仕組みが中心となってしまいます。
2. 経営者層が説明を受けてもよく理解できない
経営者の方たちは多額の投資が必要な訳ですから、「売上のアップ」なのか「コストの削減」なのか、その効果が一番知りたいところです。ところが上記のようにシステム部門では投資対効果をうまく説明できないという問題があります。また、システム開発の内容を説明されても、専門外ですから細部まで理解はできません。結局のところ、システム全体も投資対効果も十分に理解ができないということになってしまいます。

これらの問題を解決するにはシステムの恩恵を受ける部門とシステム部門がいっしょに投資対効果の数値を作成する必要があります。投資の額はシステム部門が、効果・改善の数字はユーザ ー部門が担当しなければ正確な数字が作成されないばかりでなく、システム稼働後の数字に対する責任の所在もはっきりとしなくなってしまいます。

 システム投資の種類(意義)と目的を明確にする
システム投資を判断するうえで経営者層もシステム部門も投資の種類(意義)と目的を共通に認識しておくことが必要となります。特に複数のシステム投資が発生し、それに対し予算が不足する場合などは投資の優先付を行う際にも役立ちます。

1.システム投資の種類

インフラ投資 サーバーなどの増設、買い替え、ネットワークの高速化などシステム全体運用に必要となるシステム
業務的投資 各部署のパソコンやプリンタの増設、部署単位での新規ソフトウェアの購入やバージョンアップなど業務の支援に必要となるシステム。
戦略的投資 経営や業務の意思決定に必要となるシステムや事業を構築する際に必要不可欠となるシステム。

2.目的の明確化

目的の達成 システムの構築による目的の明確化と導入後、設定した目的を達成できるかどうか。
適合・有効性 業務に対してシステムが適合し、「ムリ」「ムダ」「ムラ」がなく有効に稼働するかどうか。
コストの明確化
(TCO)
システム自体の導入による直接的なコストだけではなく、間接的に発生する技術の習得、維持管理、利用を可能にするための人件費もいれたコストを計算します。