SCM

 SCM(Supply Chain Management)とは
一般に消費者の手にメーカーから商品が届くまでには、メーカー→物流業者→卸売会社→小売店→消費者という流れで商品が動いて行きます。消費者に対してのサプライヤー(供給・調達者)が小売店であるように、小売店のサプライヤーは卸売会社となります。実はメーカーにも供給者があって農家や原材料メーカーがそれにあたります。日本語では供給と調達が反対の意味に使われる場合もありますが、英語ではどちらもサプライ(supply)となります。
SCM(サプライチェーンマネジメント)はサプライヤー同士が、消費者の購買情報や在庫情報など、さまざまな情報を共有することにより、チェーン(鎖)のように密接に結びつき、最初の原材料の調達から消費者の手に届くまでのリードタイムの短縮や、余分な在庫や物流コストの削減をすることにより、トータルコストを低減し、消費者に低価格、かつ短期間で商品を届ける手法のことです。

サプライチェーンマネジメントの流れ

商品の流れ
生産者
原料メーカー
情報の共有
製品メーカー
物流会社
卸売会社
小売店
消費者

 SCMの背景
消費者の生活様式の変化やニーズの多様化により、商品のライフサイクルが短くなり、長期的に売れ続ける商品が少なくなってきました。その結果、消費者が欲しい商品を欲しい時に欲しい量を提供しなければ売上がおがらないばかりか、売れ残った不要な在庫を抱えてしまうことになります。不況の時代を迎え、売上が伸び悩む中、商品のコストの中で大きな比重を占める在庫や物流コストを削減できるということで、多くの企業が取り入れる結果となりました。
ここ数年の流行であるSCMですが、これに近いことはスーパーやCVSなどでは昔から、行われていたことです。スーパーやCVSなどの小売店の本部組織が中心となり生産者、メーカー、物流、卸売会社と発注情報を基本として供給、調達の時間や量をコントロールしてきました。

 SCMのメリット
1.企業のメリット
1. 市場や顧客のニーズに迅速に対応できる
2. 原材料などの調達量の適正化
3. ムダな生産がなくなり、生産効率が向上
4. 在庫の適正化(コストの低減と品質管理の向上)
5. 物流量の適正化
6. 結果として製品コストが低減し、商品価格の低価格や収益が向上

2.消費者のメリット
1. 欲しい商品を
2. 欲しい時に
3. 欲しい場所や方法で
4. 欲しい量
5. 欲しい価格
で購入できる。

 SCMにおけるシステムの活用例

業務 内容 利用システム
消費者情報の収集 小売店のPOS販売データや発注データから情報を収集し、EDIにより情報を交換、共有し需要、在庫予測、などのプランニングに利用する。 POS
EOS
EDI

Eコマース
需要の予測 消費者の購買動向や気象など外的要因を加味し、多角的な分析を行い需要を予測する。 DP
生産・物流計画 原材料や資材の調達、生産、物流の量や時間など全工程が最適化されるように生産計画や配送計画などのプランニングを行う。 SCP
FP
納期回答 受注に対する納期の回答を実施する。急な注文や大量の注文にに対しても生産の能力、スケジュールから回答を提供する。 DF

 SCMのシステム化のポイント
SCMは生産や物流など商品供給・調達の管理手法であり、コンピュータシステムではありません。一時期、SCMのブームに乗って、BtoBのEコマースのシステムやデータ交換用のEDIシステムをSCMだと言って売り込みをしたところもあります。
また、SCMシステムということで、システムを導入すれば、あたかもSCMがすぐ実現できるように言っている企業もあります。コンピュータシステムはCRMと同様にSCMを実現する道具であり、使う側の複数の企業がしっかりと準備し、活用する体制ができなければ実現することはできません。

1.情報の共有
SCMのキーポイントは需要予測の精度とスピードです。特に食品など品質保持が短いものほど、予測の狂う幅によって在庫や廃棄の金額が違くなります。精度の高い情報をいかに素早く共有できるシステムを構築できるかが大きなポイントとなります。


2.企業間の連携
CRMの場合は企業内で体制を整えれば実現できる可能性がありますが、SCMでは複数の企業がお互いに協力しあう必要があります。1社でも約束した時間や量を守らない企業がでるとSCMを取り入れる意味がなくなります。また、SCM用のシステムに多額の投資をしても効果が発揮できません。その意味ではパートナーとなる企業の選定はとても重要な要素となります。

3.柔軟かつ拡張性のあるシステム
SCMを実現するためにはPOS、EDI、RDMBSや販売管理や生産管理などの基幹システムとデータをやりとりする必要があります。また、時として大量のデータを取り扱う必要もあり、処理のスピードも大きな問題となります。このため、オープンで柔軟性、拡張性に優れたシステムが必要となります。

4.有名なSCMパッケージ
i2 Technologies
アリバ
SAP SCM
オラクル SCM