システム構築のポイント

 システム開発ニーズの発生
システムの開発ニーズは今や社外、社内など様々な要因で発生します。中小企業の場合、少ない人員、時間、コストで開発にあたらなければならず、優先順位の整理などのためニーズを的確に掴む必要があります。
1. 新規事業の開始によるシステムの開発
会社自体が新規に事業を立ち上げることになり、そのために必要なシステムを構築することなどです。ITバブルのころ各社がこぞってネットショッピングに参入し、そのためのシステムを構築したのが代表例です。
2. 取引先とのEDI化や業務の効率化などによるシステムの開発
ITバブルによって企業間のデータ交換(EDI)は飛躍的に進歩しましたが、まだまだ十分ではありません。特にSCMが浸透すると、さらに多くのデータが企業間でやりとりされることになります。
また、業務の効率化・スピード化、意志決定のスピード化、管理部門の人員削減などを狙いとしてERPを導入する企業も増えてきました。
3. システムの老朽化による開発
システムのハードウェアの老朽化や能力不足、ソフトウェアが古いために開発費用や運用費用が大きいなどのために発生します。まだ2000年問題などは記憶に新しいところです。ハードウェアの交換が伴うことが多く、その際にソフトウェアも新しいものにするなど開発規模、コストとも大きくなります。

 社内の開発体制づくり
中小企業でもアウトソーシングを利用するところが増えていますが、新しいシステムを導入する際にはシステム担当部署だけではなく、業務の担当部署も含めたプロジェクトチームを発足させることが必要です。これによって実際の業務にあったシステムの構築が可能となります。
1. プロジェクトの組織化
プロジェクトに参加するのはシステム担当部署の責任者、開発担当者、業務部署の担当者などで、システムと業務それぞれの面からどういうシステムが最適であるかを検討できるメンバーで組織します。人数は少数精鋭のほうが問題意識を維持させやすくなります。
この時、プロジェクトリーダーはシステム担当部署の責任者などが望ましいのですが、会議などをまとめたり、リーダーシップ能力が弱い場合は他からの人選も必要です。
業務担当の部署からの人選はよく「パソコンに明るい」などということで選ばれていますが、これは大きな間違いで業務に精通した人間が必要となります。
また、システム部門のスキルなどが弱い場合、外部のコンサルタントなどを加える方法もあります。
2. プロジェクトの開催方法
開催方法は短い時間の会議をたくさん開くより、回数を少なくして時間を長くした方が集中的な討議ができ効率的です。
また事前の資料づくりですが、「資料のために資料をつくる」ことがよく発生します。せっかく資料を用意しても使用されなかったり、「後で見といてください」などということも少なくありません。人員・時間のない中小企業にとってはムダとなることも多いので、資料の内容や製作には注意が必要です。
3. 現状の業務とシステムを調査
これがプロジェクトチームの大きな役割のひとつです。
まずシステム開発のニーズとともに業務上で新しく発生することや、改善することを整理する必要があります。それを達成するためには現状のシステムで可能なのか、可能でなければ新しいシステムを開発するのか、パーケージソフトを導入するのか、また外部にアウトソーシングするのかなどを検討します。

(社内のヒアリングについて)
システム開発プロジェクトの一環として社内の各部署へのヒアリングがよく行われます。この時、各担当者から業務の問題点や改善案がでてくるのですが、それをまとめる作業がプロジェクトチームの担当となることが良くあります。
各担当者からの要望の中にはとても重要な改善案もあれば、全く業務に関係無いこと、業務的なスキルが不足しているために起因していること、時には部署の方針に反することなども上がってきます。あるべき姿としては自分の部署の業務なのですから、部署内でいったん整理してからヒアリング内容をプロジェクトチームに伝えるのが理想的です。
しかし、ワンマン的な上司などがいる場合、部下の意見や要望をコントロールしてしまうことがあるので、プロジェクトチームが主体となってヒアリングを進めることが必要な時もあります。